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指原はなぜ”助かった”のか~深まるメンバー間の相互依存~

 AKB48の指原さんが、AKB「加入後」に男性との交際をしていたことが週刊誌によって暴露され、博多を拠点とするHKT48への移籍を命じられたことが話題となっています。

 かつて、「加入前」のプリクラ1枚流出しただけで一発KOとなったメンバーがいることを考えれば、今回の処分はかなり甘いのではないかという印象があります。

 それでは、なぜ指原はこのように”助かった”のでしょうか。
 
 そこには、あまりにも大きくなりすぎたAKB48の、「成熟したアイドルグループ」としての病理が潜んでいるように感じます。

 説明のために、まずはこちらの画像を見ていただきたいと思います。
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 これは、グループに所属するアイドルたちの持っている価値を明確に表すために、企業の決算書で使われる貸借対照表(バランスシート)を応用してみたものです。

 グループは、メンバーに対して「カンバン」を貸し出し、メンバーはその看板を背負うことで活動の場を獲得していくわけです。メンバーから見れば、そのカンバンは自分の力で獲得したものではなく、あくまでも借りているものに過ぎないことから、企業でいうところの負債に当たります。

 カンバンを借り入れたメンバーには、返済期限(アイドルとしての寿命)が来る前にアイドルとしての経験値をできるだけ多く稼ぎだし、自己資本比率を高めていく努力が必要となります。努力の結果、晴れて「円満な卒業」を果たすことができて、ようやくカンバンという名の負債の返済ができるのです。もっとも、しばらくは「元メンバー」としての看板を背負った活動の割合が多くなるため、全額返済はかなり時間がかかります。

 カンバンの以外に貸し出されるものとしては、「ごり推し」があります。これはプロデューサーの力によってメディア露出を急速に増やすものです。この意味では、指原に対して尋常ではないほどの貸し出しが行われていたことは皆さんも感じていたと思います。

 なぜ指原のごり推しは行われたのでしょうか。そのためには、AKBの現状を今一度再確認する必要があります。
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 完成度が低くて申し訳ないのですが、言いたいことは伝わると思います。

 現在のAKBはフェーズ3に位置していて、成熟したアイドルグループとして分類されます。この段階になると、「いつものメンバー」「いつものイベント」というように、ファンの視点から見るとマンネリ化しがちになります。

 この状況を打開するために秋元康さんがとった戦略の一つが、指原の「ごり推し」だったと考えられます。以前はそれほど目立っていなかったメンバーをピックアップし、AKBの新しい姿、新しい価値観の提供を目論んだのでしょう。

 このタイミングでの今回の騒動ですから、さすがの秋元さんも悩んだことと思います。

 人気メンバーが「デフォルト」し、ごり推しという債権が焦げ付き、不良債権化してしまえば、グループ自体のバランスシートも激しく毀損します。そうなれば、グループの運営も立ち行かなくなり、たちまち崩壊へとつながっていきます。

 今回の指原のケースは、本来であればそのまま脱退という処分で終わるところでしょうが、指原の抱える負債の大きさを考えると、とてもそのような処分をすることはできなかったため、移籍という形の救済が行われたのでしょう。まさに"too big to fail"と言ったところですね。

 グループの知名度が大きくなるにつれてメンバー間の相互依存も深まり、一人の脱落がグループ全体に与える影響も大きくなっていきます。現在のAKB48の状況は、まさに「一蓮托生」の様相を呈しているといえるでしょう。

 このような成熟したアイドルグループならではの苦悩に対してどのように向き合っていくのか、秋元康さんの手腕に期待したいところです。