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【書評】統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である 西内啓 ダイヤモンド社

 

 最近「ビッグデータ」が気になる。「ビッグデータ」って金のにおいがする!「ビッグデータ」ってモテそう!っていうかそもそも「ビッグデータ」って何?・・・そんな方たちにおすすめの一冊。かく言う僕自身も、「どうせビッグデータなんて、“IT系”な人たちの専売特許なんでしょ」「わたくしみたいな経営学部卒の文系には全く関係ない世界なのよね」とぷりぷりしていた側だったのだが、本書を読んで見方が変わった。ある程度統計学の知識があれば、何とか食らいついていけそうな分野だということが分かった。そりゃあ、大量の情報を最先端の機器を用いて分析し、イカしたソリューションをクライアントに提供し、ベネフィットを創造するとともにイノベーションの種を撒くみたいなことをやるためにはたくさんのお勉強と訓練が必要になる。ただ、僕みたいに「統計学?ああ、大学で学びましたよ。(4単位分だけ)」な感じの人でも、少なくとも「ビッグデータ?ああ、それはね・・・」とドヤ顔で語るレベルには持っていくことはできるのだ。

 

 (ここからドヤ顔)とりあえず、本書の内容に沿って、ビッグデータとはなんなのかを簡単に説明したい。ビジネスに用いられる「データ」と呼ばれるものは、商品の仕入れ、在庫、売上のようなものから、顧客のプロフィールや購買履歴、従業員の勤務時間や健康状態まで、あらゆる範囲に及んでいる。ITの進歩によってそれらのデータは電子化され、必要なソフト(一番簡単でメジャーなのはexcelでしょうか)さえあれば、簡単に集計したり分析したりできるようになった。ビッグデータとは、ものすごい大量に集められたデータたちの集合を表す。ただ、一般的に「ビッグデータ」といえば、データそのものよりもビッグデータを用いて「ビジネスの役に立ちそうな情報」「ビジネスインテリジェンス」を導き出していく作業を指すことが多い。(ここまでドヤ顔)

 

 本書は、「データ社会を生き抜くための武器と教養」である統計学について、さまざまなシーンにおける利用法を具体的な例を挙げながら説明してくれる。それと同時に、世間に跋扈する「意味のないデータを出してくるマーケター」への批判もされていて、ともすればそのような意味のない分析に丸め込まれて納得させられてしてしまいそうな僕もはっとさせられることが多い。

 

 本書に関連して、最近(日付失念。新聞切抜きするのは良いが、日付を書いておくのを忘れてしまう)日本経済新聞でも取り上げられていた「データサイエンティスト」の記事も興味深かった。データサイエンティストとは、まさしくビッグデータを活用し、マーケティングなどに生かすために分析する人材だ。この記事の中に、データサイエンティストに求められるスキルとして、プロジェクト管理やマーケティングなどの「ビジネススキル」、各種ソフトの操作技術や大量データの収集ノウハウなどの「ITスキル」、統計解析やデータのモデル化のノウハウなどの「分析スキル」の3つが挙げられている。しかも、どれか一つだけではなく、すべてをバランスよく備えていることが必要とのこと。どれもこれもが付け焼刃では身に付かない、非常に習得困難なスキルばかりだ。そんなこともあり、日本では今のところ1000人にも満たない人数しかいないとの推計もある。さらに、2018年には米国だけで14万から18万人の不足が発生するとも言われている。需要と供給が全くかみ合わない、まさに「求められる人材」だと言える。

 

 日経新聞の記事とも合わせ、知識というものはそれだけではそれだけに終わってしまい、実践で役に立つスキルに昇華させることなしには役立たずであると痛感した。ドヤ顔ばかりしていないで、他人にはないスキルを追求していくことの必要性を強く感じさせてくれる一冊だ。